大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和35年(う)2529号 判決

被告人 小林武四郎

〔抄 録〕

弁護人小玉治行の控訴趣意第一点について、

原判決が被告人の本件頒布行為を認定し、これに対して公職選挙法第一四二条、刑法第六〇条、公職選挙法第二四三条第三号に該当するとし、刑法第四五条前段を適用していることは原判決文により明らかである。公職選挙法第一四二条にいうところの頒布とは、もともと多数人に配布することを指称し、その性質上多数の配布行為を予想しているのであるから、その全体を包括して一罪が成立するものと解すべきであつて、各配布行為が独立して各別に犯罪を構成するものと解すべきではない。本件は「自民党全国区日本消防協会理事長斎藤時郎推せん者日本消防協会々長大野伴睦」と記載された多数の同一文書を多数人に頒布したというのであつて、これを併合罪として処断すべきではない。然らば原判決には所論のような違法があり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由がある。

(加納 河本 太田)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!